ねこのつめ合わせ

会社員☞海外大生☞会社員☞漫画家 瞬間的にやりたいことをやっていると職業遍歴が散らかった。ラインスタンプ出したけど売れず、漫画描いたけど人気出ず、ノベル書いたけどこれに至っては誰にも読んですらもらえず。何かを制作・リリースすればするほど自分の存在意義が透明化していくように感じる今日この頃。漫画家なのに最近漫画描けていないからただのひきこもりに進化してこんな風に言葉を散らかしてます

コールミー『ダブルディー』【非モテ・モルモン女子の留学婚活番外編】

今日はきゃとらに自身の話ではなく婚活留学中に出会ったクラスメイトのお話をさせてください。

 

 

 

☟きゃとらにが『婚活留学』を決めた訳

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☟ついに出会いの兆しか?!前回記事

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WD(ダボーディー)とは英語のレベルがイマイチ足りない留学生に修了必須とされる英語強化コースで出会いました。そのコースにおいてWDときゃとらには『英語レベルが低い人たちの中でいえば中級』つまり『下の中』クラスに仲良く振り分けられたです。

 

 

 

WDとキャンパスを歩いていると、だいたい3分おきくらいに「Hey, Double D(ヘイ、ダボーディー)!」と声をかけられます。するとWDは決まって

 

 

「What's up brother from another mother!」

(よう、腹違いの兄弟!)

 

 

と多少噛みながらも元気に応じるのです。「今の友だち?」と尋ねると「いや、今初めて見た人」なんてことも。ドライ&シャイジャパニーズのきゃとらににしてみれば驚愕のパーソナルスペースの狭さなのです。

どの界隈でも何年かに一度大型新人と称される人物が現れます。プロ野球界でいえば平成の怪物と言われた松坂大輔、コンビニ界でいえば悟り世代の大型新人と言われたニーチェ先生といった具合に。

 

 

 

☟ニーチェ先生

 

 

 

ブリガム・ヤング大学ハワイ校(BYUH)で当時大型新人(新入生)と言えば間違いなくWDでした。彼は入学するや否やキャンパス中を『My Buddy』もしくは『My brother』に変えてしまったのです。その人望たるや彼を取り巻く友人の人数が見かけるたびに増えていく程の人気っぷり。その様子はさながら通り道の物をことごとく巻き込みながら膨らみ勢いを増してゆくハリケーンのようでした。

 

 

 

そんなみんなの中心WD。みんな大好きWD。週明けの授業には週末のビーチ通いで真っ黒に日焼けした体を引きずるようにしてやってくるWD。夜のキャンパス、酒にではなくハワイの潮風が運ぶ自由で開放的な気分に酔った若者がバカ騒ぎする現場では必ず神輿の中心にいるWD。

 

 

 

ところで『WD』は彼の本名ではありません。そして彼のクラスメートであれば誰でもその事実を知っています。しかも本名のカミングアウトは大抵新学期のクラス初日。生徒全員の自己紹介の時。WDは自分の番が来るとマイケル・ジャクソンみたく勢いよく立ち上がり自分の名前を声高に宣言します。

 

「ハイ!マイ・ネイム・イズ・ダボーディー!」

 

すると教師は決まって一瞬フリーズした後、

 

「それって…まさか本当の名前じゃないよね?」

  

と困惑しながら確認します。しかしWDも引き下がりません。

 

 「いや、僕の名前は『Double Dragon(ダボードラゴン)』の『WD』だよ!」

  

なんでもWDという名前は大学進学直前に短期ホームステイしたアメリカ人宅の男の子がくれた名前なのだとか。1人の男からもう1人の男へ。授けられたのは名前という名の国境なき絆。それをそう簡単に捨てるWDではないのです!

 

 

「『チェ・ヨンチョル(仮名)』で良くない?」

  

 

何と!友情熱き男達の間に芽生えたものが伝わらないだなんて!ってゆーかWD本当は『チェ・ヨンチョル』なのか。教師の冷めっぷりと、WDの本名のあまりの普通さに閉口するわれら。そんなわれらを尻目にWDは結局「WDでよろしく!」と最後までチェ・ヨンチョルという平凡な韓国人青年の影を封印するのです。確かにWDの人となりを一度知ってしまうと『チェ・ヨンチョル』という名はあまりにも彼に不釣り合いに思えます。本名なのに。だって『ダブルドラゲン』という名はまるで香港映画スターのごとくセンセーショナルでキャンパスでは学長の次に有名な彼にしっくりくるのです。

 

 

 

不思議なのは初回クラスの数だけこのやり取りがデジャブの様に繰り返されること。ニックネームを名乗ること自体は様々な国籍の学生が在籍するBYUHにおいて決して珍しいことではありません。難しい名前を持つ学生が多いためニックネームをもつ方が本人と周囲双方にとって都合が良いのです。そして教師たちの方でも新学期初回授業では学生たちがどの名前で呼ばれることを好むかを確認するのが恒例でした。

 

 

 

それならばなぜWDという名前だけがそれほどまでに教師たちに受け入れ難かったのか?特にこの傾向は女教師になるとより強いように見受けられました。しかしこの名に抵抗を感じる誰もが貝のように口を閉ざし、決してその理由を明かそうとはしないのです。

 

 

 

しかしその疑問に対する答えは思わぬタイミングでやってきます。それはきゃとらにが大学4年の時のことでした。寮の自室でアメリカ人ルームメイトと他愛もないおしゃべりをしていたところ、話題はひょんなことからWDにシフト。すると『WD』という単語を聞いた途端ルームメイトが「ひゃあ!」と素っ頓狂な声を上げたのです。突然の叫び声に驚いたきゃとらにでしたが、その直後ルームメイトが口にした言葉はさらに信じられないものでした。

 

 

「何その名前?その人嫌われてんの?」

 

 

何を言っているんだろう?間違ってもキャンパスのスターWDが嫌われてるなんて!確かに誰しもすべての人間から好かれるのは難しい。でもWDに限ってそんなことあるわけがない。だってWDはみんなの『brother from another mother』なのだから。しかし彼女の反応は今までWDという名を口にすることさえためらった教師たちを思い出させました。そこでWDという名前が持つ意味を思い切って聞いてみたのです。

 

 

「え、知らないで呼んでたの?」

 

ルームメイトはきゃとらにの無知に大層驚いたようでした。それもそのはず。だって、

 

「WDってアメリカではブラのサイズ名よ」

 

 

 

 

 

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 アメリカではDカップ以降のブラのサイズをE、F、Gとする代わりに『DD(ダボーディー)』、『DDD(トリポーディー)』、『DDDD(クアドラポーディー)』と表記することもあるんだよ、と説明するルームメイトの声を遠くに聞きながらきゃとらにはWDに関する記憶を高速で巻き戻していました。

 

「Eカップ元気?」

「予習してきたEカップ?」

「お前最高だよEカップ!」

 

WDをめぐる会話を和訳変換するととんでもなく変態な会話にどうしてもなってしまう。WDの自己紹介を聞いた(特に女)教師たちは冷めきっていたんじゃなかった。ドン引きしてたんだ。だって、

 

「おっす、おらEカップ!」

 

などと名乗る学生が現れたら、「とんでもないド変態が現れた!」と戦々恐々ともするだろう。それも聖く正しきクリスチャンスクールで。イノセントな留学生に本名を名乗るようあくまで冷静に勧めた母校の教師陣がまさしくプロ集団だったことが今更分かるきゃとらに。しかし彼らの意図はWDを含め教室にいた我らに伝わることはありませんでした(伝わるか!)。

「ブラザーからもらった名前をどうして名乗っちゃダメなんだよ!」と熱く抗議するWD、毎日のように彼を取り巻き夜ごとバカ騒ぎする彼の『友人』達、チェ・ヨンチョルという無垢で平凡な韓国人青年をある日を境に『WD』にしてしまったアメリカ人達、そして3年半無知に「WD」と呼び続けた自分。

 

 

 

結局WDに「君の名前多分ブラのサイズが由来だよ」と伝える日は来ませんでした。そうするとWDが大切にしてきた色んなものを台無しにしそうな気がして。そうしてまで教えてあげるべき情報であることは知りつつも、それをするのが自分でありたくないという残酷な自己保身のために。昨日久しぶりに彼のフェイスブックを見にいきました。チェ・ヨンチョルという名前の隣に付けたされていた『(Double D)』の文字はもうありませんでした。

 

 

 

すい星のごとく現れたWD。君はまさしく超新星だった。

 



きゃとらに?

 

 

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