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ねこのつめ合わせ

会社員☞海外大生☞会社員☞漫画家 瞬間的にやりたいことをやっていると職業遍歴が散らかった。ラインスタンプ出したけど売れず、漫画描いたけど人気出ず、ノベル書いたけどこれに至っては誰にも読んですらもらえず。何かを制作・リリースすればするほど自分の存在意義が透明化していくように感じる今日この頃。漫画家なのに最近漫画描けていないからただのひきこもりに進化してこんな風に言葉を散らかしてます

ディズニー新作映画「モアナと伝説の海」に批判の声

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☟日本版映画予告編・日本語版声優情報はこちらでご覧いただけます

www.catlani.com

 

ディズニー新作映画「モアナと伝説の海」アメリカでいよいよ公開

 

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来週11/23(水)にディズニー新作映画「モアナと伝説の海」がいよいよアメリカにて公開となります。先日Zip!でも予告編を紹介していましたがご覧になりましたか?

 


『モアナと伝説の海』予告編

 

白い砂浜、エメラルド色の海、海の浅瀬に身を乗り出すようにしてクネクネと幹を伸ばす木々。人の横をと泳ぐウミガメ。どれをとってもハワイでの大学時代を彷彿とさせます。学生寮近所のビーチとそっくりな光景。そしてポリネシア人特有のゆったりとしてそれでいて伸びのある歌声のBGMがそこに流れてきて…もう胸がぎゅーっとなるのです!

 

 

Moana

Moana

 

 

もう早く観たい!どうせなら同時上映にしてくれよぅ!なんの焦らしプレイだよ!

とは言え日本公開は2017年3月10日(金)とまだまだ先の話なので最近はディズニーが次々とリリースする色々なバージョンの予告編や映画のサントラやらをYouTubeであさっています。来年は公開初日に観に行こう、それでもって映画館で学生時代のハワイに脳内トリップしちゃおう!なんてことを動画を観ながらウキウキ考えては落ち着きません。そんなある日Facebookの新着フィードトップにあったこんな投稿が目に飛び込んできました。

 

 We Are Moana, We Are Maui

記事の投稿者は大学時代文化人類学のクラスでお世話になったサモア出身のフォラウ教授(仮名)。投稿をクリックすると別サイトへ誘導されました。そこで目にしたのが上記見出し『We Are Moana, We Are Maui(我々はモアナ、我々はマウイ)』だったのです。

 

ウェブページはそれ自体がウォルトディズニーカンパニーへの嘆願でした。丁寧な文章ではありながらそこには作中に登場するポリネシア文化、及び男性キャラクターマウイの描写法に対する不満が明記されていたのです。文末にはフォラウ教授を含め52人の教授が名を連ねていました。改めてFacebookの投稿に戻ってみると既に多くの『イイネ!』とコメントが寄せられています。多くはハワイ、サモア、マオリ、タヒチ、フィジーなど、ポリネシア及びオセアニア地域のバックグラウンドを持つ人々からでした。

 

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フランコフォニー(フランス語圏・仏語圏)研究Etudes francophones

 

どうして彼らは映画『モアナと伝説の海』の一部描写に不満を抱いたのか。嘆願やその他SNSに投稿されている意見から推察するに大きく2つありました。

 

 

 神話とはまるで異なるマウイの描写

 

まずはマウイという人物が作中でどんな風に描写されているかを見ましょう。

 


Moana: Dwayne Johnson's Maui comes to life in the first trailer

 

丸い瞳に大きな体がキャラクターのもつコミカルさを引き立てています。『アラジン』で言うところのジーニーポジションな感じ。

 

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http://kids.disney.co.jp/character/genie.html

 

うん、いかにも山寺宏一氏が日本版マウイの声優をやりそうな雰囲気。

 

ところがポリネシアコミュニティーにとってはマウイは神話に登場する英雄。不義と戦い社会に変革をもたらした伝説の人物です。地域によって様々な逸話を持つマウイは神とも人とも言われていますが、中にはフォラウ教授のようにマウイは自分のご先祖様、なんて人もいます(系図もあるから驚きです)。そしてそんな伝説の英雄マウイはこのような姿をしていたとポリネシアでは語られているのです☟

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これはたしかにだいぶ違う。ぜんっぜんジーニーっぽくない。

確かに映画『モアナと伝説の海』はフィクション作品です。しかしマウイはポリネシア文化においてフィクションではないのです。実在人物、ましてやポリネシア文化における偉大な英雄ともなればそれに見合うようなキャラクターデザイン・設定がなされるはず、ポリネシアコミュニティーはそう期待していたのです。

 

なのでディズニー版マウイには落胆の声が次々と上がりました。

 

「豚とカバのハーフ」

「『ポリネシア人は肥満』という西洋社会の偏見がありありと見て取れる」

「西洋人のステレオタイプやめろ」

 

個人的にはディズニーのマウイはかわいいし、愛嬌があってどこか憎めなさそうなところが好きです。しかしここできゃとらには考えます。「もしディズニーが日本の神話をベースにアニメーション映画を作成して、そこに登場する神話の神がぽっちゃりの三枚目キャラとして描写されたらどういう感情になるだろう?」そう、例えばスサノオノミコトあたりがそのように描かれたとしたら。

 

≪想像図≫

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う~ん。

多分怒りはしないし、嘆願出したりもしないだろうけど、「ディズニー分かってないなぁ。ってゆーか西洋人キャラあれだけ可愛く描くのに日本人はこれ?」と多少なりとも不満に感じてしまう(いや実際描いたのきゃとらにですが)。憎めない感じだよね、なんて呑気に思えない。むしろ「ばかにしてる?」と言いたくなる。

 

だからやはりある地域で特定のイメージと共に親しまれている人や物を新たにディズニー風にデザインする際はやはりそれなりの配慮って必要だと感じます。

 

ポリネシア文化の認識がゆがめられる懸念

まずはこちらをご覧ください。

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これはトップの画像です。作中にはモアナがフラを披露するシーンがあります。モアナの衣服には細かいパターンが組み合わさった紋様が施されており、この点だけ見れば民族衣装が細部にわたって再現されているなぁくらいしか感じませんが、実際このシーンの文化背景は次のようになっています☟

 

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 実は主人公モアナの住む島は実際地図上には存在しない架空の島です。そういう理由もあってモアナや島民の文化はポリネシア地域の様々な要素を盛り込んだのでしょう。しかしこの文化のまぜこぜ具合がポリネシアの人々の懸念でした。異なる文化のミックスはフィクションストーリーにおいて珍しいことではありませんし、ポリネシアの人々もその点については理解しています。それでも懸念と不満を払しょくできない理由には歴史的背景が関わっていました。

 

1700年代後半~1800年代初頭にかけてポリネシアの島々ではイギリスやフランスなど西洋国家による植民地化政策が布かれました。その際西洋文化が精力的に導入され、従来の現地の文化は野蛮だという理由から禁止されるようになったのです。例えばハワイでは今日日本でも大人気のフラはもちろんハワイ語で話すことすら禁じられ、違反者には厳しい罰則が科せられました。

 

その後時代は変わり文化の継承はもはや問題視されなくなりましたが、『ポリネシアの文化は原始的で野蛮だ』という認識はそれからも独り歩きを続けます。ポリネシアを舞台にしたハリウッド映画では残虐非道で知性の低い現地人がお決まりの様に登場しました。こうした映画やテレビのような大衆メディアの影響はかなりあったのでしょう。その証拠にきゃとらには大学在学中「ハワイってまだカニバリズムやってんの?」という衝撃の質問をアメリカからの旅行者から何度か受けたことがあります。カニバリズムはかなり昔の話で、しかも行われたのはハワイではなくフィジーですが。

 

先祖から受け継いだ誇り高い文化を、西洋の価値観で測れないという理由で奪われ、変えられ、あまつさえ絶やされそうになったポリネシアの人々が最も恐れるのはこのような誤認識が異文化出身者の手によってがまことしやかに広められ、それがいつしか既存の文化、本物の文化に上書きしてしまうことです。それはポリネシアの人々にとって植民地化と何ら変わらない脅威なのです。

 

 

ポリネシアコミュニティーの嘆願を読み終えて

 

一度はハワイに住みポリネシアの島の人々と懇意にしていたきゃとらにには嘆願作成者たちの気持ちが少しは分かるつもりです。しかしその上でディズニー映画製作者サイドとポリネシアコミュニティー双方に誤解があるように思えました。本当にディズニーは一部のポリネシアコミュニティーが思っているような文化的侵略者で、神話の英雄を貶めた悪者なのでしょうか。しかしきゃとらにはモアナの映画予告編からはポリネシアの自然や文化、人々に対する愛を確かに感じます。きゃとらにが卒業後恋に焦がれつつも一度も戻れていない夢の場所をディズニーは再現したのです。ポリネシア文化の価値を過小評価するような人間にあの予告映像は作れません。そこで今度はディズニーサイドのことをもう少し調べてみることにしました。

 

☟つづきはこちら🐈 

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☟24ヵ国の言語で歌う『How Far I'll Go』はこちらで視聴できます

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