Previously on 非モテ・モルモン女子の婚活留学
日本にいる頃、モルモン・非モルモン問わず殿方に一切モテなかった年齢=彼氏いない歴のきゃとらに。希望を求めて海の向こうはブリガム・ヤング大学ハワイ校(BYUH)に婚活留学しました。
そもそもモルモンとは何ぞや?という方はこちらの記事が分かり易くておススメ☟
(非モルモンの夫の記事です)
とうとう本気で婚活のため留学を敢行したきゃとらにはまず新入生が新たな人間関係構築と出会いを求めてしのぎを削るカフェテリアに足を踏み入れました。そこでは国際大学ならではの出身国別グループが乱立しており、異性として日本人にまったくウケないきゃとらには何とか多国籍グループへの加入を成功させたのでした。
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君の名は・・・ロシア
キャンパスカフェテリアで出会いを!と息巻いていたきゃとらにがそのロシア人の殿方に会ったのはそれからほどなくしてのことでした。その日は午前最後のクラスを終えて、ルームメイトのベロニカ(仮・18歳・女性)や数人のクラスメイト(やはり18歳)とお昼を囲んでいました。食べるのが遅いきゃとらに(25歳)はいつも先に食べ終えてゆく友人たちを見送る格好になります。
「ごめん、次のクラスの宿題しなきゃ」
「今からバイトだから」
各々の事情で先にカフェテリアを後にするクラスメイト達。いつだってより寂しいのはあとに残される方だなどと感傷に浸るきゃとらに。そのくせ食事のスピードが一向に上がらないきゃとらにをベロニカは隣の席で辛抱強く待ってくれるのでした。ベロニカがその日4杯目の豆乳(しかもセルフサービスのドリンクコーナーにはないためわざわざキッチンからもらってきているもの)を健康志向のOLみたく優雅に飲んでいた時のこと、
「ここ、いいかな?」
ああどうぞ、と言おうとした頃には既に向かいの席に腰を下ろしていたのは見知らぬ白人の殿方でした。こちらとしてはあと5分ほどで食事終了のタイミング。それでも構わないのかこの殿方はきゃとらにたちの向かいにすっかり腰を落ち着けてしまいました。金髪碧眼に加え親しみやすそうな笑顔。普段白人と話しているとやたら感じる圧迫感をこの殿方から感じなかったのは彼が170cmあるかないかくらいの割と小柄な体格の持ち主だったからかもしれません。それにしてもアジア人女性なら喜んで飛びつきそうな優良物件が自分の向かいに座ろうとするとは珍しい。何が狙いだ。思考は完全に非モテをこじらせたおっさんのそれになる。
君の名は・・・すっかり忘れてしまったし、それを探すために時空を越えたり君が暮らす街を訪ねたりする気は一切ないのでロシア出身だという君を仮にロシアと呼ぶことにしよう。後にも先にもきゃとらにが大学で出会ったロシア人は君1人だし。
このロシア、ベロニカときゃとらにの向かいに座るや否やまるでそうあることが自然かのごとくあっと言う間に会話の主導権を掌握してしまいました。
「クラスどう?」
「ああ、今EIL(英語スキルが十分でない留学生が事前履修必須とされている英語学習プログラム)なんだね。僕もEIL終わったばっかりなんだ」
「今は一般教養と日本語のクラス取ってるよ」
実に楽しそうに喋るロシア。傍から見たらわれわれ3人は完全に知り合い同士に見えたに違いありません。しかし先にも書いたようにきゃとらにはロシアとは一切面識なし。ちらっと隣のベロニカに視線を投げてみる。首を横に振るベロニカ。どうやらベロニカの知り合いでもなかった模様。
ただ、新入生利用者の割合が多いカフェテリアでは初対面同士が食事を共にすることは珍しくありませんでした。ただそれは一部のイケてる学生のみに発生するイベントだとばかり思っていたきゃとらには内心静かに興奮していました。もしやこれが俗にいうナンパというやつだろうか!「もしも運命の人がいるのなら 運命の出会いがあるのなら」内なる西野カナが囀ります。そんな浮かれた小さな西野カナを先程の内なる非モテおっさんがたしなめます。
そんなわけないだろ。あれは見知らぬヒトであっても気軽におしゃべりする欧米文化なんだろ。第一本気のナンパならセリーナ・ゴメスとかテイラー・スウィフトみたいなアメリカ人に声かけてるし、アジア人にしたってもっと可愛い子他にいくらでもいるから目覚まして。ね。あと西野カナあんま聞かないよね?
こんな風に小さな西野カナと非モテおっさんがきゃとらにの内側でギャーギャーやり合っている間も相変わらず気持ちよさそうに喋りまくるロシア。その英語は素晴らしく流暢だけど、母音の発音が所々短くなるところや、本場英語以上に舌を巻いたり、発声に息を多めに含むところなんかは『ああっぽいなぁ』と思いました。
ところで話題に乏しいきゃとらには会話においては割と聞き役に回ることが多いです。そして外国の人って自己主張・自己表現・自己顕示・自己愛などとにかく『自己◯◯』がやたら強い!だからきゃとらにのような聞く専門職人がめずらしいのでしょう。際限なくしゃべられることが非常に多いのです。そしてロシアも例に漏れず『ずっと俺のターン』なのでした。
さてそろそろランチもロシアの話もお腹いっぱいですよ、となった頃、ベロニカときゃとらには「それじゃあお先に失礼するね」と言いつつ席を立ちました。すると食事を初めて間もないロシアまで一緒に退席しようとするのです。お皿には色だけはやたら鮮やかな炒め物やら何やらがこんもり。喋り通しだったせいでしょう。ほとんど食べられなかったようです。それにしても小柄な割に随分大食いですね。しかもそれ絶対まだ食べ終わってないよね?食べ残しの件を問うてみると、「こんなのいいんだよ」と言いながら『食べ残し』というよりは『食べ始め』のトレーを返却するとロシアはわれわれが寮へと戻る道のりをそのまま一緒に歩き出したのです。
ここまで来るとベロニカときゃとらにの疑問はただ一つ
「ロシアいつまでついて来る気だろう?」
当初の浮かれ気分はどこへやら。どうやら相手の女子よりも誰よりも自分のことが大好きそうなロシアにちょっとばかり辟易し始めていたわれわれは一刻も早い解散を望んでいました。幸い寮自体は施設内の異性の立ち入り厳禁なので部屋までついて来られる心配はないのですが。結局ロシアはHale(ハレ)5と呼ばれる女子寮までついてきました。送ってくれているつもりだったのでしょうか?1人っきりでもないしできれば手前の男性Haleとの分かれ道でさよならしたかったし、できればわれわれのHaleも知られたくなかった。なんて思っていた別れ際にロシアは突然こう切り出したのです。
「日本語のクラスの宿題が難しくて困ってるんだ。教えてくれないか?」
これには一瞬思考がフリーズしました。フレンドリーでおしゃべり好きなロシアがやっていたのはナンパかと思ったら、日本語の宿題を手伝ってくれる都合の良い日本語かてきょ(家庭教師)探しだったのか!ナンパに困る被害者面を装い悦に入りかけていたきゃとらには恥が顔から火を噴くのを感じました。そして待っていましたと言わんばかりに内なるおっさんの声が聞こえてきます。これだから無駄にウブな非モテは!そこに西野カナはもういません。
若い女のウブさというのはそれだけでブランドになります。知識も経験もないその生娘に一から色々教えてあげたくなる。その真っ白なキャンバスを自分色に染め上げたくなる(内なるおっさん談です)。ところが25歳の自分が生娘ぶることに可愛らしさも何もありません。ましてやリアルにウブだなんて笑えない。そんなギャグにもならない自分が18歳の純正生娘ベロニカと一緒になってナンパに迷惑するモテ女の真似事をするなんてあぁ恥ずかしい。
もちろん日本語の宿題サポートはOKしました。
きゃとらに🐈
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