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映画「魔女の宅急便」冒頭、ラジオで天気予報を聴いていたキキは「晴れ、満月」のアナウンスに胸を躍らせ、即座に魔女修行への出発を決めた。
そんな「思い立ったらすぐ行動」の相棒に対し、黒猫のジジは、「旅はもっと慎重に計画するべき、出発をひと月伸ばそう」などとツッコミを入れる。
キキの母親も、自分が営む薬屋のお得意さんに
「あの子は空を飛ぶことしか覚えなかった」
と心配そうにこぼす。
結局、そんな周囲の心配には一切耳を貸さず、キキはその日の夜とっとと出発してしまう。
独り立ちといえば、20歳の時、わたしは最初のアメリカ留学をした。
わたしの英会話スキルと言えば「ハロー」「サンキュー」が限界だと知っていた周囲の友人たちは、
「よくそんなんで行こうと思うよね。せめて英語喋れるようになってからのほうがいいんじゃない」
「そうだよ、文化とか習慣とかもっと勉強してからじゃないと不安じゃない?」
「わたしがあんただったら行かないわ」
と懸念を口にした。しかしわたしもやはりキキ同様にそうした言葉をまともに受け止めようとはせず、
「いいの いいの、せっかく本場で英語で勉強するんだから
中途半端に日本で勉強して変なクセついたら困るし」
などとやたら能天気なだけの意味不明な返事ばかりしていた。バカ丸出しである。
キキにしても、わたしのケースにしても、30代にもなれば、流石にどちらがまともなことを言っているかは分かるつもりだ。
黒猫のジジや、わたしの友人の方がすすめてくれていたのは、入念な計画、リスクの想定、十分な準備をすることだ。さもないと、失敗したり、挫折したりするからだ。実際、飛ぶことを唯一の取柄と自負していたキキは一時的に飛べなくなって失業したし、わたしに至っては出発初日、巨大なサンフランシスコ空港で迷子になり、道を尋ねることすらできなかった。
しかしそれでも時々考える。
「もし当時、思い付きを即実行していなかったら、それでもそのアイデアは実現できただろうか?」
アイデアには鮮度がある
自分の無鉄砲さと無知を美化して肯定したいわけでは断じてない。だが、留学を思いついてから半年で成就させたスピード感だけは、注目に値すると思った(キキに至っては発想から半日足らずでの実行している)。
というのもわたしは「漫画家になる」 と決めて1年半が経過している。 その間まともに書いたオリジナル漫画の作品数は「ゼロ」だ。
その原因を、わたしは「時間」だと考えている。
わたしは、漫画のネタを思いついてから作品に反映するまでにどうやら時間をかけ過ぎてしまうらしい。
ここでことわっておきたいのは、わたしの問題視しているのが「創作に時間を費やすことそのもの」ではないということだ。現に映画業界など、世界の名匠と言われる映画監督たちが「映画の構想5年~10年を費やした」といったことは時折耳にする。作品の規模に応じて長い期間を必要とするのは当然のことと思われる。
ただし、構想は時間をかければそれだけ実現へのモチベーションを維持するのが難しい。ましてや商業誌に連載を持つ商業漫画家でもないわたしは、誰に見張られることもなく作業を管理し、遂行するから尚更だ。
アイデア熟成の弊害はモチベ問題にとどまらない。
実行までに時間を費やすことによるアイデアの鮮度低下がどのようにして起こるか以下に表した。あくまでもわたしの個人例として見てほしい。
上図にある、「他作品から着想を得たり、お手本にしたりする行為」については長くなりそうなので、別の記事で詳しく書いていく。
まずはアイデアを頭から出してみる
この1年半、アイデアは鮮魚さながらに足がはやく頭の中に温存しすぎると陳腐化したように感じられてしまうことが分かった。
こんなことではわたしの物語はさながら、「修行に出ないまま実家でアラフォーになるキキ」や「留学を志す意識高い系をアピールしたいだけの奴」になってしまう。
したがって、アイデアの無駄な貯蓄を防止することが今後の課題となるだろう。
漫画のネタが思い浮かんだら、良し悪しの判断を性急に下す前に、まずどんな形でも表現する。それが有効な手段となるよう期待している。
(例)
↓有名作家は、魅力的なアイデアであれば例え断片的でもSNSを通して発信することがある。
そうして共感や関心を集められたものを漫画作品としてさらに書き進める。
今後この「頭の中の名作」カテゴリーでも随時報告していく予定なので生暖か~く見守ってもらえたら嬉しい。
きゃとらに🐈
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